毒舌に惑わされて

「よく冷えていて、うまいじゃん。莉乃、落ち着いた?」


私は頷いて、俯いた。いろいろと恥ずかしくて真っ直ぐ顔を見れない。


「顔上げろよ」


私の正面に腰を下ろした聖也が両手で頬を挟み、上を向かせた。


「プッ、すげー顔」


「離して…よ」


誰だって頬を挟まれたら、変顔になる。何でこんな情けない顔をしなくちゃいけないの。


「莉乃」


挟む手を緩めて、今度は頬をさする。


「痛かった?ごめんな…」


優しい声で謝る聖也なんて今まで見たことがない。


「うん、大丈夫。痛くはないよ」


「良かった…」


頬をさすっていた手は素早く移動して、私の背中にいる。つまり今、私は聖也に抱きしめられている状態。

私は聖也の右肩に顔をのせた。

宙ぶらりんになっている私の手を聖也の背中に回して、軽く力を入れると、抱き合う形になった。


「聖也」


「ん?」


「寂しいの?」


背中に回されている腕が少し揺れた。