恥ずかしいことに、聖也の手に私の手の熱はちゃんと伝わっているようだ。気付かれたくないことに気付かれている。

心臓の音は絶対に気付かれたくない。


「人から感じる温かさってさ、なんか安心することあるよな」


またもや聖也らしくない言葉が飛び出てきた。今日の聖也はどうしたのだろう?


「聖也、何かあったの?」


「別に。莉乃と一緒にいたいだけ」


聖也の破壊力のある言葉に、私のドキドキ度のバロメーターは最高点に到達した。

高かった体温もさらに上昇。沸騰してしまいそう。


今日の聖也は本当にいつもと違って、私の心を惑わせる。平常心を保つことが出来なくなってきた私は息づかいが荒くなってきた。

変態と間違われたら、困る。


「おい、莉乃。大丈夫か?」


いつもと違う聖也が心配してくれる。そんなに優しくされたら…呼吸困難に陥りそう。


「莉乃? 返事も出来ないくらい苦しい?」


さらに心配する聖也の声が聞こえたと思ったら、私の体が浮いた。


「ちょっ、ちょっと、聖也!」


久々のお姫さま抱っこに私は思考を一瞬で冷静にした。