「い、一緒にいろ?な、な、何でよ?」


思いっきり動揺した私はどもってしまった。だって、聖也が捨てられた子犬のような切ない目で見るから。

こんな目で見つめられたら、連れて帰りたくなってしまうじゃないのよ。


「いいだろ?ほら、行こう?」


少し弱々しく訴えて、真っ直ぐに右手を出した。その手を掴んだら、これからどうなるの?

身の危険を察知するけど、拒むことが出来ない。


「分かった。行こう」


出された手を握って、改札を出た。


「莉乃、もっと近くに来いよ」


引っ張られて、聖也にくっついて歩く格好になった。
端から見たら、私たちも立派なバカップルではないだろうか。

駅から私の住むマンションまで約15分。


「風が冷たくなってきたな? 寒くない?」


「だ、大丈夫だよ」


寒いどころか私の体で火照っていた。酔っていて、火照っているのか繋いでいる手にドキドキしていて、火照っているのか分からないけど。

ドキドキも止まらない。


「莉乃の手、温かいから大丈夫だな」