私も飲んでいるから、そんなに気にならないけど、素面だと絶対にきつい。

ドア付近には聖也が気にしていた通り、いちゃついているカップルがいた。独り身にとっては羨ましい光景ではあるけど、それを見て寂しくなることもある。

でも、今夜は気持ち良く酔っているから酔っ払いもバカップルも気にならない。


「じゃあね。おやすみ」


私は降りる駅に着いて、聖也に手を振った。


「何で降りてるの？ここから近いから１人で大丈夫だよ」


なぜか聖也も同じ駅で降りていて、目を丸くした。


「家に帰って、１人になったら寂しいだろ？」


「別に大丈夫だよ」


ホームには誰もいなくなって、私と聖也だけがそこに立っていた。今のが終電だったのだから、とりあえず出ないとならない。

改札に向かって歩き出すと、聖也に腕を掴まれる。


「なに？」


「なんか今日は１人になりたくない気分なんだよ。莉乃、一緒にいろよ」


少し潤んだ目で訴えてくる聖也に私の心は揺れ動いた。