毒舌に惑わされて

「ちょっと、聖也!あたしは野村くんとこれから焼き鳥を食べに行くんだからね。一緒になんて帰らないからね」


「そうだよ。邪魔しないでくれる? 安藤さん、行きましょう」


先を行く野村くんの後に続いて出ようとしたが、この状況から簡単に逃れられなかった。


「有り得ないだろ。俺を放置していくなんて」


後ろから聖也が両腕を回して、私に抱き付く格好で止めてきた。

突然の密着に鼓動は早くなるけど、それどころではない。


「ちょっと聖也。離して」


「離すわけないだろ。莉乃をこのまま連れて帰るんだから」


「いやよ。焼き鳥を食べるんだから。食べに行くって、決めたんだから。この前食べた焼き鳥が食べたいの!」


私はとにかく焼き鳥を主張する。聖也の手を離そうとするけど、がっちり固定されていてビクとも動かない。どうしよう?


「離せよ」


ここで、ヒーロー野村くんの登場だ。


「何だよ。お前には関係ないだろ?」