毒舌に惑わされて

私もなぜか「くん」なんて付けて、よそよそしく尋ねる。


「そうなんですー。初めてのデートなんですー」


甘い声の女の子が勝手に答える。なるほど、デートするような子がいたんだ。


「俺たちも一応初めてのデートですよね?」


こっちも野村くんが答えているし。


「一応ねー。2人は付き合っているんですか?」


なによ、その嫌みな感じの聞き方は……。


「実はまだ、彼氏に立候補中なんですけどね」


「へー、そうなんですかー?」


聖也が何かを見透かすような目で私を見る。


「せ、聖也くんには関係ないでしょ? 彼女とデートを楽しみなさいよ」


寄り添う女の子は上目づかいで聖也を見ていた。きっと聖也が大好きなんだろう。


「聖也くん、もうすぐ番だよー」


「チッ…」


「えっ? 聖也くん?」


女の子に引っ張られて前を向いた聖也がまた振り返った。不機嫌さを増した顔をしている。


「何よ?」


「莉乃。帰るぞ!」


聖也は寄り添う女の子を突き放して、私の腕を掴んで、列から抜けようとした。


「ちょっと、何よ!」


「安藤さん!」