毒舌に惑わされて

断ってからの車内は気まずくなると思っていたけど、大倉くんがいろんな話で盛り上げてくれた。

やっぱり優しい人だ。

でも、決心は変わらない。


「ありがとう」


「うん。元気でね」


大倉くんの車が見えなくなるまで見送った。

優しい人だったけど、何か感じるものが違った。人として好きだったけど、1人の男として好きになれなかった。


私は誰が好きなの?


明日は野村くんとのデート。野村くんを好きになるのかな?

会社での野村くんはたくさん観察した。観察して分かったことは嫌なとこが一つもなかったことだ。


翌日の日曜日、朝8時半。最寄りの駅で待ち合わせで野村くんと待ち合わせをした。

一台の白い車が私の前で止まった。


「安藤さん、乗ってください」


「うん。おじゃましまーす」


「この車、まだ新しいよね?」


外も中もきれいだ。それに何となく新車の匂いがする。


「買ったのは1ヶ月前なんですよ」


「最近だねー」


「やけ書いですよ。ハハッ」


野村くんは付き合っていた彼女に振られたことで、自棄になって買ったらしい。