毒舌に惑わされて

片付けの終わった私とマスターは、外で寝ている2人を放置して、リビングでまったりコーヒーを飲む。

マスターの入れてくれたコーヒーは最高に美味しかった。


「あー、いい香りー。大輔、私にもちょうだい」


漂う良い香りに誘われた葉月が起きてきた。


「はいよ」


「んー、美味しい。頭がすっきりするわー」


こういう夫婦もある意味で理想的だなど思う。


「おい」


「えっ? びっくりさせないでよー」


後ろから聖也が不機嫌な声で抱きついてきた。何で抱きつくのよ。


「買い物行くから、付き合えよ」


「待って。これ飲み終わったらね」


「貸せ」


カップが私の手から離れた。


「ちょっと!…あー!」


まだ半分も飲んでいないコーヒーは聖也の胃に流し込まれていった。せっかく味わって飲んでいたのに、酷い。


「信じられない…」


「ほら、行くぞ」


飲み干したカップをテーブルに置いて、私の手を引っ張る。何でいつもいつも自分勝手なのよ!


「聖也、悪いわね。よろしく。莉乃もね」