「そんなことより　キョンタはどうなんだ？
すっかり女らしくなって　モテるんだろ？」

「モテるよ」

「ハッキリというな～～」

千尋が笑った。


「モテるけどね……アタシは本当の恋はしてないんだ」

「本当の恋？」

「みんなただの暇つぶし……アタシは千尋と違って
一人は寂しいもん……」


千尋は困った顔をしてアタシを見た。


「好きな人に振り向いてもらえなかったから……
その人以上の人に出会ってないの……だからまだ
誰のことも本気で好きになんかなれない……」


ここにその好きな人がいるのに
これは千尋に対しての告白なのに


まさかそれが自分だとは思ってもいない千尋が
悲しそうにアタシを見ていた。


「キョンタも苦労したんだな
ごめんな俺　ずっとそばで見守ってやるって
言ったのに　キョンタ置いて勝手に出て行って……」

千尋はその恋が
自分が出て行った後のことだと思い込んでいる。


「そうだよ　千尋のせいだから」

その鈍感さが憎くて仕方がない・・・・・。
そして愛おしくてたまらない・・・・・・。