タオルで目元を拭こうと鞄を開けると、真っ先に見えた生徒手帳。

そうだ、一昨日澤村さんから名詞を預かって、生徒手帳に入れてたんだっけ。


「卓人さん、これ…」


名刺を差し出すと、卓人さんはそれを見た途端に眉を寄せ、私を漆黒の瞳で見つめてくる。

胸がドキッと跳ね上がり、目が離せない。


「…どういうつもりだ?」


その声は怯んでしまいそうな程低いのに、卓人さんの上下する喉仏があまりにも色っぽくて妙にドキドキする…


「…澤村さん、泣いてました。連絡待ってるって伝えてって」

「いらない。俺は話すことはない」

「でもーー…あっ‼︎」


すると卓人さんは、名刺を手に取りビリビリッと真っ二つに破いてゴミ箱に捨てた。


「ひどいです!破くなんて…話ぐらい聞いてあげたっていいじゃないですか!」


バイトが終わる時間まで外で待ってたのに。

それも一度ではなく何度も。

二人に何があったかわからないけど、こんなのあまりにも酷すぎるよ。