「うわぁ…素敵」


ドアを開けた途端、目の前に広がる店内の様子に私は感嘆の声を漏らした。


鼻を掠める珈琲の香り。

店内は白をベースとし、木のカウンターやテーブル、椅子が並んでいる。

所々に観葉植物が置かれ、天井にはライト付きの白いシーリングファンが回っている。

窓からは陽の光がめいっぱい降り注ぎ、心地良い穏やかな雰囲気を醸し出していた。


店名の通りオアシスのような空間に、さっきまで緊張でドキドキしていた心臓が嘘のように和んでいる。


「柚姫ぃ〜!待ってたわよ!」


突然店の奥から大きなアルト声を発して駆け寄って来たのは、従兄弟のハルちゃんこと平井 晴樹(ヒライ ハルキ)。


「ハルちゃん!とっても素敵なお店だね!」

「ふふふ、ありがと。さ、中へどうぞ」


私はハルちゃんに続いて店内へ足を踏み入れた。