オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜


多分、俺はお前に惚れてる。

根性があって、一生懸命で、純粋で、真っ直ぐなお前が。

しっかりしてそうで、でも誰よりも繊細で傷付きやすいお前を、俺は放っておけない。

俺が、守ってやりたくなる。

俺のものに、したくなる…


俺は無意識に、顔を寄せた。

鼻先が触れるぐらい近くにある、平井の顔。

お互いがゆっくりと、瞼を閉じた、その時ーー。


ーーーーブーッ、ブーッ、ブーッ。


突然、鞄の中から携帯のバイブ音が聞こえて我に返った。


『…悪りぃ…』


俺…今、何しようとした?

あり得ないだろ…まじで。

無意識とはいえ、自分の行動が信じられない。

俺は熱くなった顔がバレないように、平井から顔を逸らすことしか出来なかった。


それから数日間、俺は何もなかったかのように平然を装った。

本当は、平井を前にして、普通でいられるわけない。

心臓はバクバクしてるし、手のひらは汗を掻いてるし、平井を直視出来ない。

こんな俺、平井に知られたくない…

ホント、だせぇ…