多分、俺はお前に惚れてる。
根性があって、一生懸命で、純粋で、真っ直ぐなお前が。
しっかりしてそうで、でも誰よりも繊細で傷付きやすいお前を、俺は放っておけない。
俺が、守ってやりたくなる。
俺のものに、したくなる…
俺は無意識に、顔を寄せた。
鼻先が触れるぐらい近くにある、平井の顔。
お互いがゆっくりと、瞼を閉じた、その時ーー。
ーーーーブーッ、ブーッ、ブーッ。
突然、鞄の中から携帯のバイブ音が聞こえて我に返った。
『…悪りぃ…』
俺…今、何しようとした?
あり得ないだろ…まじで。
無意識とはいえ、自分の行動が信じられない。
俺は熱くなった顔がバレないように、平井から顔を逸らすことしか出来なかった。
それから数日間、俺は何もなかったかのように平然を装った。
本当は、平井を前にして、普通でいられるわけない。
心臓はバクバクしてるし、手のひらは汗を掻いてるし、平井を直視出来ない。
こんな俺、平井に知られたくない…
ホント、だせぇ…

