蒼がバイトを休みがちになった時、二人の間に何があったか知らないけど、ひどく落ち込んだ平井を見ていたら親のように心配する自分がいた。
繊細で傷付きやすくて、なんか放っておけない。
だけど、平井は一人で解決した。
塞ぎ込んでいた蒼も、平井も、すっかり元気を取り戻していた。
8月下旬。
ひょんなことから、俺が平井に勉強を教えることになった。
勉強は好きだけど、誰かに教えるのはめんどくさい。
いつもの俺ならそう考えるのに…
そんな気にならなかったんだよな…
それどころか変にうかれて、やたらと時計を見て勉強の時間まであとどのぐらいか確認して、その度に心臓がおかしくなって。
俺が俺じゃないみたいだった。
初日の勉強を終えて、家まで送ってる途中。
平井の気配が隣りから消え、慌てて振り返ると、平井は俯いて立ち止まっていた。
『…どうした?』
本当に、最近の俺はどうかしてる。
『黙ってたらわからないだろ?』
気になるんだよ…お前が、変だと…
いつもみたいに馬鹿みたいに笑ってないと、嫌なんだよ。

