それから遣都さんは週に2、3回は来店するようになった。
最初は顔を合わせるのも嫌で、遣都さんとは極力話さないようにしてたけど、仕事上そうもいかない。
話して行くうちに、俺は遣都さんという人柄に惚れた。
大学の先輩で共通の話題があったり、仕事の話をしたり。
どうやら、俺が穂花の元カレで二股かけていたことは知らない様子だった。
あまり恋愛の話はしなかったけど、ほんの少し話題が出ただけで、穂花を大事にしてるってことはわかった。
どこかで引っかかっていた穂花という存在。
もう、いい…
これでやっと終われる。
遣都さんが良い人で、俺は救われた気がした。
この人に負けたのなら本望…
いや、多分最初っから、同じ土俵にすら上がれてなかったんだろうけど。
穂花の本命は、遣都さんで。
寂しさを埋める為に、俺に手を出した。
俺はただの遊び相手、浮気相手にもなれなかった。
でも、今となってはそれで良かったんだと思う。

