すぐに永山さんの視線を辿ると、店の横の自販機に寄りかかるようにして卓人さんが立っていた。

暗くてよく見えないけど、険しい顔をしてる気がする。

どくんっと胸が重く震える。

これが、卓人さんの険しい顔に対する恐怖からなのか、卓人さんに気持ちを伝えようって決めた矢先に他の男性と遊びに行く約束をした後ろめたさからなのかわからない。


「平井…ハルさんが呼んでる」


だけど、思ってたよりも卓人さんの声色はいつも通りで、少しだけホッと胸を撫で下ろした。


「え?ハルちゃんが?何だろ…」

「じゃあ、俺はとりあえずこれで。メール、待ってます」


そう言って、永山さんは手を振って帰って行った。


「あれ、誰?」


いつの間にか、私の隣まで来ていた卓人さんに胸がドキッと弾む。


「さっき知り合った人です」

「ふーん……行くの?」

「へ?行くって?」

「誘われてたじゃん」


あ…卓人さんに聞かれてたんだ…

ってことは、私が友達からでって返事したのももちろん聞こえてたよね…