「ふぇ?じゃないわよ。ボーッとして、大丈夫?初めてのバイトで疲れちゃった?」


そう心配そうに眉を寄せるハルちゃん。

いけない、いけない。

仕事中にボーッとするなんて…


「ううん。何でもないの。ごめんね」


ハルちゃんは私の言葉に「ならいいんだけど…」と胸を撫で下ろした。



「君が噂の柚姫ちゃん?」

「あ…はい。柚姫は私ですけど…」

「へぇ。ハルさんが過保護になるのも頷けるな」


そう言って、口元に笑みを浮かべる男性。


「あの噂って…?」

「ああ。ハルさんから柚姫ちゃんの話を聞いてたから。可愛い従姉妹がいるって」


可愛いって…また勝手にそんなこと…

ハルちゃんはいつもそうやって言ってくれるけど、本来の私は全然可愛くないんだから。

知らない人にそんな風に話されたら困るよ…


そんな私の複雑な胸の内も知らず、「ね!可愛いでしょ?」といつも通り陽気なハルちゃん。