「あら遣都。いらっしゃい」

「こんちは。ハルさん、いつものお願い」


そう清々しい笑顔を見せた男性は、奥から二番目のカウンター席に腰を下ろした。


「土曜日なのに仕事だったの?」

「ちょっとトラブルがあって急遽出勤になったんだ」


誰だろう…常連さんかな?

20代後半ぐらいだろうか。

くっきり二重でやや下がった目尻と筋の通った鼻。

ぷっくりとした艶っぽい唇。

その甘いマスクからは優しさが満ち溢れ、清涼感のある声は聞いていてとても心地が良い。

黒髪のビジネスショートヘアーはワックスで綺麗にセットされ、全体的に清潔感が漂っている。



「ーー…姫⁈もう!柚姫ってば‼」

「…ふぇ?」


無意識のうちに男性に見惚れていた私は、ハルちゃんの声で我に返った。