それから数日、卓人さんはバイトがない日もカフェで勉強を見てくれた。
遅くなった日はちゃんと家まで送ってくれる。
あの日の出来事はまるで夢だったかのように、お互い一切口にしない。
もちろん、二人の関係にも変化はない。
変化があったのは、私の気持ちだけ…
今の自分の正直な気持ちに気付いたんだ。
私は、遣都さんのことが好きだった。
でもそれ以上に私はーー…。
夏休みもとうとう最終日。
私はバイトの休みをもらい、夕方まで図書館で勉強。
それから卓人さんのバイトが終わる時間に合わせてカフェに来ていた。
「おい。ここ、間違ってる」
いつものように2人がけのテーブルに向かい合って座る。
マンツーマンの勉強も、今日で最後…

