「いえ…」


まだ心臓がバクバクいってる…

もし、携帯が鳴らなかったらどうなってたんだろう…

あのまま…キス、してた…?


私は遣都さんが好きなはずなのに…

嫌じゃなかった…

キスしたいって、思った…


「…行くか」


卓人さんはすでにいつものクールな顔に戻っている。

それが少し……

ううん、かなり寂しく感じた。


どうしてもう普通に出来るの?

卓人さんにとっては、なんてことない出来事なの?

私は今もこんなにドキドキしてるのに…


「卓人さんの…バカ…」


でも、一番バカなのは私…

二人の男性の間で揺れ動く自分の気持ちが見えなくて…

優柔不断な自分が嫌い。