「ごっ、ごめんなさい…‼︎さっきのは忘れて下さい!」


穴があったら入りたいとはまさにこの事。

恥ずかしくて卓人さんの顔見れないよ…

私は俯いて、ギュッと目を瞑った。


「…嫌いじゃねぇよ。お前のこと」


え…?今、何て…?

驚きのあまり、パッと顔を上げる。


「ーー…っ……」


まだ私を見ていた卓人さんと視線が重なり、息をのんだ。

真剣で真っ直ぐな瞳から目を逸らせない。

心臓が破裂しそうなぐらい高鳴って、呼吸も上手く出来ない。


卓人さんの顔がゆっくりと近付いてくる。

私と卓人さんの間だけ、時間の流れが遅く感じるほど。

私も、無意識に瞼を降ろした。

鼻先が触れるぐらい近くに、卓人さんの気配を感じ、その時を待つ。


ーーーーブーッ、ブーッ、ブーッ。


突然、鞄の中から携帯のバイブ音が聞こえて我に返った。


「…悪りぃ…」


そう言って、私からスッと離れる卓人さん。