卓人さんの言葉が胸に染み渡る。
「ゔっ…ひっく……」
どうして…
どうしてこんな時に優しいの…?
いつもみたいに冷たくて近寄り難い卓人さんだったら、泣かないですんだのに…
笑ってくれてたら、少しは気持ちが晴れたのに…
ううん、違う。
きっと卓人さんがああやって言ってくれなかったら、私きっと泣けてなかった。
強がって、本気じゃなかったって自分の気持ちを欺いて。
絶対後悔して、ずっとずっと引きずってたかもしれない。
だって遣都さんへの想いは、日は浅いけど確かなものだったから。
涙は止めどなく溢れ頬を伝って行く。
「あれー?卓人さん、柚姫ちゃん知りません?」
「ああ、あいつならさっき帰ったけど」
「ええ⁉︎…くそ、一足遅かったか」
卓人さんと蒼君のそんな会話が隣りのスタッフルームから微かに聞こえる。
卓人さん…もしかしてずっとスタッフルームに?
誰もここに行かないように見ててくれたのかな…

