『…泣いてんじゃん。俺なんかのために…』
俺のために涙を流し、本気で叱ってくれる彼女を愛おしいと思った。
こんな小さな身体で、俺に必死に訴えかける彼女を守りたいと思った。
もう絶対に泣かせたりしないって、そう強く心に決めた。
ついさっきまで痛かった胸は、嘘みたいにスゥッと楽になっていく。
どんなに体を重ねても、他の女じゃ満たされなかったのに。
柚姫ちゃんの笑顔や涙は、俺を満たしてくれた。
ふっ…俺、結局はただのマザコンじゃん。
ホント、だせぇな。
『だって、無意識だったんだもん…蒼君が殴られるって思ったら居ても立ってもいられなくて…咄嗟に叫んでた』
母さんもそうだったんだろうか。
母さんは酷いことを言った俺を…
俺のせいで事故に遭った事を、
恨んでないのだろうか…

