オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜


『…泣いてんじゃん。俺なんかのために…』


俺のために涙を流し、本気で叱ってくれる彼女を愛おしいと思った。

こんな小さな身体で、俺に必死に訴えかける彼女を守りたいと思った。

もう絶対に泣かせたりしないって、そう強く心に決めた。

ついさっきまで痛かった胸は、嘘みたいにスゥッと楽になっていく。


どんなに体を重ねても、他の女じゃ満たされなかったのに。

柚姫ちゃんの笑顔や涙は、俺を満たしてくれた。


ふっ…俺、結局はただのマザコンじゃん。

ホント、だせぇな。


『だって、無意識だったんだもん…蒼君が殴られるって思ったら居ても立ってもいられなくて…咄嗟に叫んでた』


母さんもそうだったんだろうか。

母さんは酷いことを言った俺を…

俺のせいで事故に遭った事を、

恨んでないのだろうか…