雪宇side~

やっとまともに息ができるようになった…

空生に迷惑かけてしまった。

謝ると空生は八重歯を出して
「大丈夫だから!」そう何度もと言う。

「空生…」

「どうした?どっか痛いか?」

「…違うの、どうして、どうして今日出会ったばかりの私に、そんなに優しいの?私が空生の立場だったら逃げ出すかも知れない…公園の前の時も、屋上でも…ゴホ」

「あんま、しゃべんなって!まだ体調よくないんだろ?」

なんでだろう、私今日初めてこの人に会ったのに、どうしてこの人は私の考えていることが分かるんだろう…

空生は続ける…

「俺だって、わかんねえよ。
お前が道路で倒れた時なんもわかんねえけと、助けなきゃっておもったんだよ…
俺…今日雪宇に話聞いてもらっててすっごい楽しくて…今、雪宇を失いたくない…そう思ったんだ」

失いたくないなんていわれたことなかった。

私は申し訳なさと恥ずかしさの混ざった複雑な心境だった。

「ありがとう…ゴホ…ゴホゴホ」

また呼吸が乱れてきた

「雪宇、もう喋るな!大丈夫だ。俺はどこにも行かないから!」

私は側にいて!とも言ってないし、怖いなんて言葉も発してないのに随分1人で盛り上がってるみたい…(笑)

でも、何故かその言葉を聞いた私は安心感に包まれて、眠りにつくことができた。