私は寄り道をすることなく青りんご荘へ帰る...

...はずだった。

帰る途中、うちの学校の制服を来た男子が来た。

この人もサボリか...なんて考えながら歩いていた。

でも、よく見るとチューリップの人だった。

目が合うとまた、その人はぽかーんとしていた。

それもそのはず、あんなに時間をかけて縛った髪を下ろして、汗をかいているんだから...

「あのさ...化粧の人だよね?」

なんて聞き方すんのよ。
あ、名前しらないもんね。

「そうですよ?」と言い微笑む。

「やっぱり」と、また八重歯を出して笑う。

「あの!さ...さっきはありがとうございました!」
緊張してうまく言えなかった。

すると、また八重歯を出して
「いいよ!ねえ、お前中学生だよね?」

「そ、そうです」
なんで敬語つかったんだろ

「俺も!ねえ、大岡中って知ってる?」

「知ってるも何も...私、大岡中生ですけど...」

「え?!今日学校休みだっけ?」

なんなのこの人...
少しは察しなさいよ...

「違うよ。」

「じゃあ、熱でもあるの?」

「違います」

「じゃあ、どうしてここにいるの?」

「帰ってきたから」

「じゃあ、俺も行かない」

この人何言ってるんだろう。

「それは、だめ!」

「なんで?」

だって、うちの学校は決して悪い学校じゃない。
しっかりと真面目に授業を、うければ良い高校にだって夢じゃないだろう。

「なんでも…です…」

「じゃあさ、一緒に、いこ?」

理解不能だった

今の私は誰がどう見ても、さぼって帰ってきたとわかるだろう…

なのに…この人はそんな私になにを言っているんだろう…

「ねぇ、いいでしょ?」

「なんで?」

「だって暇そうだし」

「失礼ですよね…」

あ、ごめん、なんて言って八重歯を出す。

でも、私は行きたくなかった

「ごめんなさい、今忙しくて…」

「嘘…だよね?」

「はい…嘘です」

なんでだろう。

この人に嘘つけないと思った…