だから、私には帰る家がない。

それを言われてひるんだ私を見た教師は
「早く帰れよ!」
なんて、怒鳴った。

私は何も言わずに教室をあとにした。

玄関で靴を履いていると咲緒が追ってきた。

「ゆう!」

「ん?」

「大丈夫...?」

心配...かけちゃった...

「余裕だよ、どうせ帰ろうと思ってたし、ハハッ」

「そっか!」

「うん」

「じゃあ、うちも説教終わったら帰るね!」

そうだ、今日は咲緒彼氏と遊ぶって言ってたっけ...

「今日は彼氏とデートだっけ?」

「うん!まあね」

「楽しんで~」

「ありがとう」

「じゃあ、明日ね!」

「ばいび~」

私は来た道をひたすら戻る。

「あっ...」