○焼肉屋、内、夜
   個室で秀夫と親友の田中、佐藤が
   焼き肉を食べている。

田中「それはひどいよなあ。プロジェクトごと
   ごっそりと出し抜かれたとなりゃ」
佐藤「メンバーにスパイがいたとしか思えない」

   秀夫、えっという顔をして二人を見つめる。
田中「蓮尾ってどんな奴だ?」
秀夫「それはない。俺のミスを尻拭いしてくれた奴だ」

佐藤「そういうのに限って危ないんだぞ」
田中「お前は人がいいからな」
秀夫「・・・・」

○会社、調査室、内
   窓際に秀夫が座っている。
   電話が鳴る。
   秀夫、受話器を取る。

交換の声「専務がお呼びです」
秀夫「専務が?すぐ行きます」
   秀夫、出て行く。

   X  X  X
   秀夫、帰ってくる。
   手に分厚い茶封筒を持っている。
   ゆっくりと後ろ手にドアを閉めながら、

秀夫「蓮尾が?・・・・」
   秀夫、封筒を机の上に置き、座る。
   ノックの音。

秀夫「どうぞ」
   陽子がお茶を持って入ってくる。
   机上の茶封筒に目をやりながら、

陽子「お茶をお持ちしました。調査ですか?
   有能な方はどこにいらしても忙しくなりますね」
   陽子、お茶を机上に置く。

   秀夫、茶封筒をしまいながら、
秀夫「あ、いやいや・・」
陽子「頑張ってください斉藤さん。応援してます」

秀夫「ありがとう」
   陽子、礼をして出て行く。

秀夫「乗っ取りか。徹底して暴いてやる」
   秀夫、電話を取りプッシュを押す。
秀夫「斉藤と申します。田中課長をお願いします」

   X  X  X
田中の声「気をつけろよ斉藤。よほど慎重にやるんだ。
   1歩間違えれば殺されることもありうるぞ。
   この電話も盗聴されてると思え」

秀夫「そんな?」
   秀夫、受話器を押さえドアを見る。
   ドアの外、人影が去る。

   秀夫の首筋に紫色の斑点が浮き上がっている。
   秀夫、首筋を掻く。