○信州ビーナスライン、山道
   1台のバスが走っている。

○同、バスの内
   帽子をかぶり、Tシャツにジーパン、
   ボストンバッグを膝に抱え、
   サングラスをかけた若林がいる。

○同、蓼科湖
   蓼科湖のバス停。
   バスが発車する。

○同、ピラタスの丘
   ロープウェイのバス停。
   何人かの客が降りる。
   バスが発車する。

○同、すずらん峠
   バスが走る。
   すばらしい景色が続く。

○白樺湖、遠景
若林のN「僕は売れない小説家若林勝秀。
   この夏、親友が支配人を務める信州
   レジャーランドで歴史小説を書こうと思っている。
   ところが不思議な出来事に巻き込まれて・・・」

○タイトル
   『ハムスターランド』

○タイトルバック
   白樺湖レジャーランド。

○池の山ホテル、正面入り口、外
   支配人の北山が待っている。
   若林が現れ、北山の手招きで
   裏の坂道へ回る。

○坂道
   北山と若林、並んで歩いている。

若林「すごいホテルだな。昔皇族も宿泊されたとか・・」
北山「ああ、この一帯全部八島一族の土地で、今の社長
   夫婦が一代でこのレジャーランドを築きあげたんだ」

若林「もっと上に女神湖という泉があるんだって?」
北山「女神湖も白樺湖も洪水を防ぐための人造湖で、
   昔は一気に諏訪湖へ鉄砲水だったそうだ」
若林「・・・・・」

○ペンション寮、入り口
   薄汚れたペンションが見える。
   白樺の林の中、草ぼうぼうである。
   4駆が1台止まっている。
   北山と若林が歩いてくる。

若林「きたないところだな」

北山「そういうな、ただなんだから。
   温泉はいつでも入れる。食事は、
   社員食堂で食券を買って食べてくれ。

   1食500円で食べ放題。寮に持って帰るやつもいる。
   建ったばかりの寮のほうだがな。ここには誰もいない」

若林「そうか。すごくいいところだな。感謝する北山」