「きっとさ……誰しもみんな……誰かに必要とされて生きているんだよ。あたしは荒木さんを必要としてる。だから、荒木さんも……あたしを必要としてくれない?」


「浅野さん……」


「ダメ……かな?」


遠慮がちにそう尋ねると、荒木さんは首を横に振った。


そして、目に涙を浮かべながら今まで見たことがないようなくらい柔らかい笑みを浮かべた。


普段表情を表に出さないからとっつきにくい印象のある荒木さん。


派手で目立つ存在だけど、誰ともつるまずに一人狼でいる彼女。


だけど、今、あたしの目の前にいる彼女は他の子たちと同じ普通の高校生で、笑ったその顔はキラキラと輝いていた。


「ダメなわけないじゃない!」


「荒木さん……」


なんだろうこの気持ち……。


胸がじんわりと温かくなって思わず笑みが漏れる。


「もう荒木さんじゃなくて、樹里(じゅり)って下の名前で呼んでよね?あたしは里桜って呼ぶから」


荒木さんと浅野さんじゃなくて、樹里と里桜って呼び合える関係。


友達ができた……。


樹里っていう頼もしい友達ができたんだ……。


どうしよう。嬉しい……。


嬉しくて涙が溢れる。


「ねぇ里桜、そろそろ泣くのやめない?」


「そうだね。だけど、嬉しくて涙が出ちゃうんだもん」


「おおげさすぎ~!」


「樹里だって、泣いてるじゃん!!」


「うるさい!」


あたしと樹里は、涙を流しながら笑いあった。