「ねぇ、彼の名前ってなんていうの?地元ってどこ?このあたり?」


矢継ぎ早に質問する美奈子に困り果てて目を泳がせる。


あたしは、何も知らない。


宇宙君の本当の名前も、どこに住んでいるのかも。


知っているのは高校名と年と、それから両親が亡くなっているということだけ。


その事実を美奈子に突き付けられた気がして、胸が締め付けられたように痛む。



「ちょっと!!黙ってないで何とか言ったら?」


「ごめん。あたし、知らないの……」


「ハァ!?知らないって何?アンタ、一緒にいたじゃん。そんな見え透いた嘘ついてどうなるか分かってんの?」


「ごめん……。でも、本当に……――」


……――えっ?


苛立つ美奈子に小さく頭を下げた時、肩に衝撃が走り、その反動で椅子ごと後ろにひっくり返った。