キミと生きた時間【完】


「里桜……?入っていい?」


コンコンッと部屋をノックする音が聞こえる。


お母さんが階段を登ってきた音に全く気付いていなかった。


お母さんはあたしの返事を聞くことなく、そっと部屋のドアを開けた。


「……――里桜、どうしたの!?大丈夫!?」


ドアを開けるなり、お母さんは床に座り込んで指から血を流すあたしに気付き、悲鳴にも似た声を上げた。


「大丈夫。ちょっと切れただけ」


「でも、血が出てるわ。消毒しないと。今、下から救急箱を持ってくるわね?」


指先を確認した後、お母さんは慌てて立ち上がりドアノブに手をかけた。