「えっ……。なんのこと?」
宇宙君のことだ。
すぐにピンッときたものの、気付かないふりをする。
「ごまかしたって無駄だから。昨日、校門のところにいたでしょ?アンタとしゃべってるところも見たんだからね」
「それは……」
「彼、超イケメンじゃない?あたし、あの男の子に一目ぼれしちゃったんだよね~。里桜、紹介してよ!ねっ!?」
美奈子は有無を言わさぬ強い口調でそう言い放った。
宇宙君を……美奈子に紹介する……?
「……――まぁ、よく考えてよ。アンタの答え次第ではあたしも黙ってないから。意味わかるよね?」
「そんな……――」
「あっ、そういえばアンタ、まだ懲りずに田中君のこと狙ってんの?」
「え?」
「昨日、田中君ともしゃべってたでしょ?アンタ、どんだけ男好きなの?」
「ちがっ……――!!あたし、本当に田中君とは何でもないの。美奈子を裏切ったりもしてないし、それに……――」
「うるさい、黙って。つーか、アンタ、いまだにあたしが田中君のこと根に持ってるとか思ってんの?そんなわけないじゃん。田中君なんてもうどうだっていいし、アンタの存在がウザいだけだし」
「あたしの存在が……ウザい……?」
美奈子はスッとベッドから立ち上がると、「つまんないし、もういこっ」と取り巻きに声をかけた。



