「じゃあ、あれちょうだい?」
まだ一度もつけたことのない香水。
あたしは慌てて首を振った。
「あれは、お父さんからのプレゼントだから……」
「なに、ダメなの?」
「ごめん。お父さんがくれたものはあげられない」
「ハァ?さっきからお父さんお父さんとか言って、マジファザコン。キモイんだけど」
「あはは!美奈子ハッキリ言いすぎじゃない~?」
美奈子の言葉に取り巻きの3人がゲラゲラと不快な声で笑う。
自分の部屋にいるのに、体中が強張って気持ちが不安定になる。
グラグラと揺れているような不快な感覚。
今すぐに帰ってほしい。
やっぱり、家に連れてきたのは間違いだった。
「ていうかさ、アンタが最近仲良くしてる男の子って誰?」
すると、美奈子はクイッと唇の端を持ち上げて唐突にそう尋ねた。



