「ねぇ、化粧品ってどこにあんの~?」
部屋に入るなり、美奈子達はあたしのベッドにドカッと腰かけて、部屋中を舐めるように見回した。
「化粧品って……?」
「里桜のお父さんの会社の化粧品。サンプルとかいらない化粧品、全部ちょうだい?」
「そんな……。全部なんて……――」
「ハァ?なにケチくさいこと言ってんの~?遊びに来てやったんだし、それくらいしてもいいじゃん」
「化粧品会社に勤めてるって言っても、たくさんの化粧品を持って帰ってくるわけじゃないの。だから……――」
「ハァ?学校でサンプルはあるって言ってたでしょ?今更渡すのが惜しくなったの?」
「違うよ。そうじゃない……――!!」
「だったら、早くだしなよ。それか、親の部屋行けばあるんじゃないの?持ってきてよ」
「そんな……――」
その時、美奈子は口元に薄らと笑みを浮かべて部屋の隅にあった香水を指差した。



