キミと生きた時間【完】


……――おかしい。


トイレから戻り、ロープウェイ乗り場に向かう。


だけど、ロープウェイに乗り込んだ途端、宇宙の顔色はみるみるうちに悪くなっていった。


時にはじっと目をつぶって黙り込み、痛みに耐えているのか顔をゆがませていた。


手の冷たさも気になる。


あたしが話しかければ宇宙は無理をして笑顔で返してくれるはず。


だからあえてしゃべりかけずに黙っていたものの、不安ばかりが募っていく。


早く。早く。早く。


早く地上に着いて。


ロープウェイを下りてバス停まで向かう途中、宇宙はぴたりとその場に立ち止った。