キミと生きた時間【完】


「あたし、宇宙のことバカにしてたんじゃないよ?宇宙人って言ったこともあったけど……」


出会ってから名前を聞くまでの間、あたしは宇宙をずっと『宇宙君(うちゅうくん)』って呼んでいたけど……宇宙からしたら、やっぱり嫌だったのかな?


「バーカ。知ってるよ」


「よかったぁ……」


ホッと胸をなで下ろしながらネックレスに視線を落とす。


「可愛い……。ずっとずっと大切にするから。本当にありがとう」


お礼を言うと、宇宙はほんの少しだけ照れくさそうに「別に」と顔を背けた。



『……――まもなくロープウェイの運行~……』


「あっ、そろそろ行かないと」


「だな」


「ごめん、その前にトイレいってきてもいい?」


「分かった。つーか、今日カメラ持ってきたか?」


「うん!もってきたよ?」


「せっかくの景色、カメラにおさめなくていいのかよ」


「あぁ!そうだったぁ……。すっかり忘れてて」


「トイレに行ってる間に、代わりに撮っといてやるよ」


「本当に!?宇宙、ありがとう~!」


あたしはバッグから取り出したカメラをそっと宇宙に手渡した。