「あたしは手術の経験がないけど、手術は何度しても慣れるものじゃないよ。それにきっと宇宙は……――」
――……大丈夫だよ。死んだりなんてしないよ。
そんな根拠のないことを言おうとしている自分に気が付いて、口を結ぶ。
きっとそんな励ましの言葉を宇宙が望んでいるとは思えなかったから。
あたしもがもし宇宙の立場だったら、きっとその言葉を素直に受け止められないと思った。
だって、宇宙はあたしには分からないたくさんの苦悩を抱えているはずだから。
「今まで……いろんな迷いがあったんだ。里桜とのことも病気のことも……。だけど、俺が頑張れば……耐えれば……そうすればうまくいくかもしれないって思ってた」
宇宙の表情が固くなる。
「……――ごめんな、里桜。俺、ダメかもしんないわ」
宇宙の声が鼻声になる。
もう辺りは真っ暗で、宇宙がどんな顔をしているのか分からない。
泣いているのかもしれない。
だけど、確かめる気にはなれなかった。
『……――俺、ダメかもしんないわ』
初めてだった。
宇宙が弱音を吐いたのは。
いつも、どんな時でも、
前をしっかりと見据えていた宇宙。



