わずかな沈黙の後、宇宙はあたしを抱きしめる腕の力を緩めて、そっとあたしの頬に触れた。


「……――つーか、何で泣いてんだよ」


さっきまでの和やかで楽しい雰囲気が一変する。


口では冗談を言い合い、笑い合っていたあたし達。


もう辺りは暗くなっていたし、明かりのない暗い神社の中ではお互いの顔ももうはっきりとは見えない。


だけど、あたしも宇宙も気づいていた。


あたしも宇宙も……声には出さずに涙を流していたことに。


「宇宙こそ」


「俺は泣いてないから」


「嘘。声が震えてる」


「……――震えてねぇよ」


ほんの少しの沈黙の後、あたし達はどちらからともなく唇を重ね合わせた。