屋上に着くと、樹里はフェンスの近くに腰を下ろす。


「ここに座って」


その場に立ち尽くすあたしに、樹里はポンポンッと自分の隣を叩いた。


指示されたとおりにアスファルトの上に腰を下ろす。


膝を両手で抱え込みながら俯いているあたしに樹里がスッと横から何かを差し出した。


「これ……」


「クレープのタダ券。一緒にこうよ」


「でも……」


「あのさ、あたしが誰と友達でいるかは勝手でしょ?」


樹里はあたしの右手をそっと掴むと、手のひらにタダ券を乗せてにっこりほほ笑んだ。