「どうして名前も教えてくれないの?いつも制服じゃなくて私服でいる理由はなに?どうして宇宙君は自分の話をしないの?」
「そんな急にいろんな質問されたって答えられないから」
振り返ってこちら見ながら、宇宙君は呆れたように笑う。
「俺、ちょっと風邪気味だから今日は早めに帰るわ」
コホコホッとわざとらしくせき込む宇宙君。
あたしはぐっとこぶしを握りしめた。
「宇宙君……あたしに何か隠してる?」
「なんで?」
「あたしは宇宙君には何でも話してるのに、宇宙君は何も話してくれない。それには理由があるの?」
「別に理由なんてない。ただ……」
「ただ、なに?」
聞き返すと、宇宙君は足元の小石を足で蹴飛ばした後、あたしの目を見つめた。



