吸血鬼が幽霊になって何が悪い!



翔也は集中治療室から一般病棟に移されていた。


病室は624号室でセイラの部屋の隣。


回復が目覚ましく、驚いたことに眼球を動かして五十音が書いてあるボードを視線で示して意思疎通を図っていた。


おれが病室を出ていこうとすると「翔也、どうしたの?」と母親の心配する声がして立ち止まる。


振り向くと翔也がこっちを見ていた。


翔也は眼球を動かし、母親が慌てて五十音のボードをかざす。


「あ……り……が……と……う……ありがとう?」母親は首を捻るがすぐに「礼なんて……何か飲みたいものある?」と照れくさそうに翔也に語りかける。