「意外とここは居心地が良かったのかもしれない」
ポツリと独り言のようにもらす。
「ここに留まりたいか?」
執行官が引き締まった顔つきで訊く。
「死を選ばせてすぐにでも消したいんじゃないのかよ?」
「気が変わった。ここで彷徨っている奴らの話し相手になってやれ。ただし、余計なアドバイスをして惑わすなよ」
その後、細々としたことを言われたが、頭に入ってない。適当に頷いて聞いていた。
ただし「この世界にいる限り、現実世界のおまえの体は植物状態のまま維持される」と言われたことは覚えている。
ということはここにいられる期限は、おれの体が腐るまでらしい。



