「本当にそれでいいのか?」 念を押してみる。 「勉強ができる脳ミソがあればいいよ。もちろん運動もできるようにリハビリもがんばるよ」 その言葉を聞いて翔也の決心を尊重したいと思った。 「そろそろいいかな」 背後で声がした。 「いつから盗み聞きしてたんだ?」 「昔から」 執行官は冗談とも本気ともとれる答え方をした。 「お別れだね」 「そうだな」 おれが先に立って手を握り、持ち上げるようにして翔也を立たせる。