「ところで翔也君はどうしてる?」 執行官が唇を歪めて訊く。 「どういう意味だ?」 含みのある言い方をされ、おれは眉をひそめる。 「この世界で私が死の選択を実行する以外に、自殺する方法があるんだ」 「何を言ってるんだ?」 執行官の言ってることが意味不明で、脳で処理できない。 「強い衝撃を受けると、体も魂も砕けてこの世界から完全になくなる」 「まさか……」 軽い眩暈が襲った気がした。 「翔也君に予備知識として与えておいた」