吸血鬼が幽霊になって何が悪い!



「いつかきっと思い出してみせる!」
セイラの言葉はおれの言葉より力強かった。


「おい、記憶が蘇る可能性はあるのか?」
おれは執行官を問い詰める。


「奇跡を待つか、本人の努力次第だ」
執行官の口調は冷たかったが、可能性を否定しなかった。


「では……」
執行官は清水のときと同じように、セイラの左肩に優しく手のひらをのせた。


「ありがとう」
おれに言ったのか、執行官に言ったのかわからないが、セイラは粒子になって消えるまで笑顔を見せてくれた。