狭い廊下を通って階段を上がると、楕円形を横にした木製のドアプレートに『セイラ』と立体的に文字を貼り付けた部屋を見つける。 そっとドアを開けた。 ベッド、勉強机、ピアノでほぼスペースを埋め尽くし、足の踏み場がない六帖の部屋。 おれの勘は当たった……とは言えなかった。 部屋には二人。 623号室で見たフォトフレームの女の子と執行官……翔也はどこだ? 「今度はこの娘に死を選択させないために邪魔をしにきたのか?」 執行官の質問は虚をつかれた。