「おまえは人間か?」 男の子をじっくり観察して尋ねた。 「あたり前じゃん」 「迷子になったのか?」 認めたくないだろうと思いながら訊いてみる。 「違うよ」 男の子は口を尖らせた。 「そうか」と言っておれは犬の方を向き、男の子に背中を見せ、無視する態勢を整える。 「ねぇ、もう質問してくれないの?」 男の子はおねだり口調で会話を続けようとする。 これだから人間の子供は嫌なんだ。ちょっと相手にしてやるとすぐ調子に乗る。そのくせ血液の量は少ない。