執行官が死を選ばせようと差し向けていることは明白だが、正確な理由はわからない。


仕事をさっさと終らせたいだけだろう。理由なんてきっと単純で知れば怒りがこみ上げてくるだけ。そんなものだ。


623号室は陽が射し込み、ベッドで眠る少女を照らしていた。


真っ白い光に包まれ、すでに天国へ向かう準備が整っている雰囲気がある。


おれと翔也はベッドの足元に立って少女の顔を見た。


長い期間寝たきりのはずなのに肌は艶やかで潤いを感じ、いまにも動き出しそうだ。


傍らの床頭台には小さなピアノのオルゴールとフォトフレームがあって、快活な笑顔でピースサインをする少女が写っている。