「構わんよ」 執行官があっさり快諾した。 「ありがとう」 翔也は笑顔で礼を言う。 「六階の623号室に栗原セイラという二ヶ月前に交通事故に遭って植物状態のままになっている女の子がいる。両親がどれだけ苦労しているか現実を見ておけばいい」 「わかった」 翔也が椅子から立ち上がる。 二ヶ月前から同じ植物状態の子供を見ておけば、自分の未来がどうなるか知ることができる。 翔也がそこまで考えて執行官に要求したとなるとかなり賢い子だ。 「おい、期限はいつまでなんだ?」 執行官に囁く。