「そうか」としかおれは答えられなかった。 「決断はできたか?」 執行官が翔也に選択を急かす。落ち込んでいるのを狙って尋ねたようだ。 「清水というあの男だって期限はあったんだろ?この子にだって考える時間をあげてもいいだろ!」 鼻筋に皺を寄せて執行官を睨む。 「答えは決まっている」 「いや、決まってない」 おれの手は自然に握り拳になる。 「この子は飛び降りをした前科がある」 「だからって死を選ぶとは限らない」 自殺しようとした前科は、おれも引っかかっていたことは事実。