「彼にも誰かを消す場面を見せたことがあるんだな」
恐怖感を微塵も感じていない清水の顔の理由を確認する。
「もちろん」
一仕事を終えた執行官は柔和な返事をすると、病室を出て行く。
「こんなものを見せても、あの子には死を選ばせないぞ」
自分の力を見せ付ける目的と、苦痛がないことを見せ、死を選択しやすいようにする意図があるような気がした。
「それは翔也君自信が決めることであって、あなたがとやかく言う資格はない」
「子供には荷が重過ぎる選択だ」
「それを甘やかしと言うんだ。自分で考え、判断する力がなくてどうする」
執行官は一刀両断の子育て論をぶつけてくる。



